肩や首が重い、張る、だるい。現代生活を送る中で、このような感覚を覚える方は少なくありません。
症状が強くなると、頭痛や目の疲れなどを伴うことがあります。揉んだりマッサージを受けたりすると一時的に楽になっても、しばらくすると元に戻り、繰り返してしまいます。

肩こり・首こりには、同じ姿勢や体の使い方だけでなく、疲労、睡眠、ストレスなど、さまざまなことが関係します。 このページでは、肩こり・首こりが続く理由と、病院を受診した方がよい状態、鍼灸でできること、ご自身でできる対処についてご説明します。
肩こり・首こりとは
肩こり・首こりの「こり」は、首や肩に重さ、張り、だるさ、動かしにくさなどを感じる状態を表す言葉で、特定の病気の名前ではありません。
「肩こりがつらい」という訴えでも、実際につらい場所は人によってさまざまで、首の後ろから背中にかけて、首から肩先にかけて、肩甲骨と肩甲骨の間など、患者さんが指し示す場所は異なります。
筋肉の緊張が関係することが多いものの、つらく感じる場所だけに原因があるとは限りません。首や肩の関節、神経の状態、身体の使い方、疲労、睡眠、心理的な緊張など、複数の要因が重なっている場合があります。
こりは、痛みやしびれとは異なる感覚ですが、強くなると痛みとして感じられたり、腕や手のしびれを伴ったりすることがあります。
ただし、しびれや力の入りにくさがある場合には、一般的な肩こりとは別に、首の神経などを確認する必要があります。
なぜ肩こり・首こりが続くのでしょうか
筋肉が働き続け、こりを感じやすくなる
首・肩まわりの筋肉は、重い頭の位置を保ち、腕を支えるため日常生活の中でも絶えず働いています。
そこに、デスクワークで同じ姿勢が続いたり、趣味や家事で細かな手作業をしたり、スマートフォンや動画の画面を長時間見続けたりすると、首や肩を同じ位置に保つ筋肉が働き続け、休む時間が少なくなります。
筋肉の緊張した状態が続くと、次第に力が抜けにくくなります。知らず知らずのうちに首や肩の動きが小さくなり、こりや痛みを感じるためさらに首肩まわりを動かさなくなります。その結果、筋肉の疲労や張りが続きやすくなります。
このような状態が長く続くと、こりに関わる感覚が過敏になり、以前なら気にならなかった程度の姿勢や作業でも、首こり・肩こりを感じやすくなる場合があります。

姿勢と身体の使い方
首こり・肩こりというと、姿勢の悪さに原因を求めがちですが、姿勢の形そのものよりも、同じ姿勢が長く続くことが大きな負担になります。
頭が身体の上にあり、股関節―肩先―耳 がほぼ一直線に並ぶ位置では、その重さを首や肩だけに偏らず、身体全体で支えやすくなります。
一方、スマートフォンやパソコンの画面を見るために頭を前へ出した状態が続くと、首・肩まわりの筋肉が頭を支えるために働き続けます。下を向く角度が大きくなるほど負担が増え、筋肉の緊張が抜けにくくなります。
このほか、肩をすくめたまま作業する、腕を前に出し続ける、片側へ偏った姿勢で作業する、机や椅子と画面の位置が合っていないパソコン作業などでの身体の使い方も、首や肩への負担につながります。
どの姿勢も短時間であれば問題にならなくても、長く続くことでこりを感じやすくなります。
一つの姿勢を保ち続けることよりも、ときどき姿勢を変えて、首や肩を動かしたり、腕を下ろして休んだりすることが大切です。
身体の特徴と筋力
首や肩への負担のかかり方には、身体の特徴や筋力にも個人差があります。
たとえば、なで肩で腕の重さを支えるために肩まわりへ力が入りやすい方、肩幅が狭く腕を前に出す作業で肩が内側へ入りやすい方、胸郭が小さめで呼吸が浅くなると首回りの筋肉まで使ってしまう方、背中の丸みが強く頭や腕が体の前方に位置しやすい方などでは、首肩に負担が集まりやすくなります。
首や肩関節の動きやすさも関係します。腕を上げにくいため洗濯物を干すときに肩をすくめて補っている、肩甲骨の動きが小さく腕を動かすたびに首や肩の筋肉が強く働く、左右で動く範囲が異なり使いやすい側ばかり使っている、などといった場合です。
過去のけがが影響することもあります。むち打ちや転倒のあとに首を動かしにくくなっている、五十肩のあとに肩甲骨の動きが十分に戻っていない、手首や肘のけがをかばって肩をすくめる使い方が続いているなど、かばう動きや左右差が残っていると、特定の筋肉へ負担が偏りやすくなります。
また、首肩まわりの筋力や、同じ姿勢を保つための持久力も関係します。筋肉が疲れやすいと、頭や腕を支えるために必要以上に力が入り、首や肩の緊張が続きやすくなります。
ストレスと全身の緊張
ストレスや緊張が続くと、無意識に肩をすくめたり、顎や首に力が入ったり、呼吸が浅くなったりすることがあります。
その背景には、仕事や家事の負担、精神的な緊張、休息不足、睡眠不足などがあります。
呼吸が浅くなると、息を吸うために首や方周りの筋肉まで無意識使い、首肩への負担が増えます。
また、無意識のうちに食いしばっている方もいます。食いしばりが続くと、顎から首にかけての筋肉にも力が入り、首肩の緊張につながります。
仕事や趣味、創作活動などに集中していると、身体の感覚への意識が向きづらくなり、肩をすくめていることや、顎に力が入っていることに気づきにくくなります。そのため、緊張した状態が長く続いてしまいます。
肩こり・首こりは、心理的な問題だけで起こるものではありません。ただし、ストレスに対する身体の反応が、首肩の緊張を強め、こりを長引かせる要因の一つになることがあります。
睡眠・疲労・生活リズム
朝起きたときに肩こりを強く感じる、という方もいらっしゃいます。
睡眠中に十分な休息がとれず、疲労が回復しきらないまま翌日を迎えると、そこへさらに疲れが重なり、首や肩のこりが抜けにくくなります。
枕が合わないのではないかと考える肩は多くいらっしゃいますが、枕だけが原因とは限りません。睡眠中の食いしばり、痛みやこり、ストレスによる緊張、眠りの浅さなども、睡眠の質に影響します。肩こり・首こりと睡眠は、互いに影響し合っていると考えられます。
また、若い頃には気にならなかった寝具でも、年齢とともに疲労が抜けにくくなったり、身体の支え方が変わったりすると、合わなくなることがあります。
特に、長く同じマットレスを使っている方や、寝起きに身体のこわばりを感じる方では、身体を支えやすいものへ見直すことで、眠りやすさや朝の状態が変わる場合があります。
そのほか、運動不足、忙しさで一息入れにくい生活、冷えなども、疲労を回復しにくくする要因になります。睡眠時間だけでなく、眠りの深さや朝の回復感、一日の過ごし方も合わせて見直すのがおすすめです。
肩こり・首こりと頭痛・めまい
肩こり・首こりと頭痛
首や肩の緊張とともに、後頭部から頭全体にかけて、締め付けられるように痛むといった、緊張型頭痛が起こることがあります。
目の疲れや目の奥の重さを伴ったり、長時間の作業後に強くなる方もいます。
ただし、肩こりがあるときに起こった頭痛のすべてが緊張型頭痛ではありません。
これまでにない強い頭痛や、急に起こった頭痛、ほかの神経症状を伴う場合には、医療機関へ受診してください。
肩こり・首こりとめまい
肩こりと同時に、めまいや吐き気を感じる方もいます。ただし、めまいには耳、脳、循環器、薬の影響など、さまざまな原因があるため、首肩こりだけで説明はできません。
繰り返すめまいや、耳鳴り・難聴を伴う場合は、まず耳鼻咽喉科へ受診してください。頭痛やめまい、吐き気を伴う場合については、前の項目もご確認ください。
病院を受診した方がよい肩こり・首こり
肩こり・首こりと思っていても、次のような場合は医療機関で確認してください。
- 腕や手のしびれが続く
- 手に力が入りにくい、物を落とすことが増えた
- 首の痛みや動かしにくさが強くなっている
- 突然これまでにない強い首の痛みが現れた

現代医学ではどのような対応が行われるのでしょうか
肩こり・首こりは多くの方が経験する症状ですが、医療機関を受診せず、セルフケアやマッサージなどで対処している方も少なくありません。
肩こり・首こりで医療機関を受診する場合は、整形外科が一般的です。首や肩の動き、筋肉の緊張、腕や手のしびれや力の入りにくさなどを確認し、必要に応じて検査が行われます。
神経症状や明らかな病気が確認されない肩こり・首こりでは、体を動かす体操や運動、温熱療法、作業環境や生活習慣の見直し、必要に応じた薬物療法などが行われます。
鍼灸ルームあかりでは
肩こり・首こりは、肩の筋肉だけの問題とは限りません。首、肩甲骨、背中、腕の使い方、睡眠、疲労、仕事や家事の負担などが重なって続いていることがあります。
広い首肩の範囲から、こりを感じている部位をお聞きし、その周りの肩甲骨や腕などの緊張状態も確認します。動かしにくい動作ないか、きっかけになる日常生活上の作業、睡眠・疲労・ストレスの状態など、初診の問診と触診で確認していきます。
緊張感が強い方の中には刺激に過敏になっている方もいます。その方の状態に合わせて刺激量を調整し、無理のない治療を心がけています。
当院では、症状がある肩だけを見るのではなく、身体全体を一つと捉え、その方が本来持っている回復しようとする力を引き出すことを意識しています。
身体全体が緊張していれば、首肩も緊張していて当然です。首肩を施術しただけでは十分ではありません。
当院では身体全体への施術には、日本伝統医学の経絡治療を取り入れています。
脈やお腹の状態から、その方のウイークポイントを見極めて、全体のバランスを整え、肩こり・首こり施術の下地となる施術を行います。
そうすることで、患者さんにとって負担が少ない施術が行えます。
また、日常生活のどのような作業で肩こり・首こりが起こりやすいのか伺うと、長時間のデスクワーク、趣味の手芸、動画の長時間視聴、お子さんを長時間抱き抱えていた、などその方に特有の生活背景が見えてくることがあります。そこから、お一人おひとりに適した無理のない範囲のセルフケアもご提案します。
肩こり・首こりで継続して来院される方の中には、仕事や家事、子育て、趣味や創作活動など、簡単には手放せないものを抱えながら、日々頑張っている方が多くいらっしゃいます。
すべてを休んで完全に治すことが難しい時期であっても、定期的に身体の力を抜き、疲労を溜め込みすぎないよう整えることで、大切にしていることを無理なく続けられるようお手伝いしたいと考えています。
鍼灸でできること
鍼灸では、首や肩の筋肉と、その周辺の肩甲骨まわりや背中、場合によっては腕など、負担のかかっている部位の緊張を和らげ、首や肩を動きやすい状態を取り戻すことを目指します。緊張して動きが小さくなっていた首肩まわりが動きやすくなると、筋肉の柔軟性や血行の改善にもつながることがあります。
首や肩を動かしやすくなることで、同じ場所へ負担が集中しにくくなります。
また、身体全体の緊張が和らぐと、呼吸がしやすくなったり、休息へ切り替わりやすくなったりします。肩こり・首こりによって眠りが浅くなっていた方では、睡眠や回復のきっかけになることもあります。
施術後は、首や肩を動かしやすくなった、肩周りの重さが軽くなった、ご自身で難しかったセルフケアが行いやすくなった、全身の力が抜けて身体が楽になった、といった変化を感じたとお話しいただくことがあります。

当院ではこのような施術を行います
問診やお身体の状態を確認したうえで、その日のその方の状態に合わせて施術を組み立てます。
- 問診と、脈診・腹診・お身体への触診
- 全身のバランスを整えるための経絡治療
- 首と肩、肩甲骨、背中に関係する筋肉の緊張を和らげる鍼
- 必要に応じて、お灸・鍉鍼(皮膚に触れて刺激する刺さない鍼)・低周波鍼治療器を組み合わせます
- 必要に応じて、日常生活で取り入れやすいこともお伝えします
初回は問診を含め、ご来院からお帰りまで1時間半〜2時間程度をみて、前後のご予定に余裕を持ってお越しください。
強い刺激や、無理に響かせるような施術は基本的には行っていませんが、刺激の感じ方には個人差があります。
気になる場合には、鍼の太さや深さなどを調整しながら施術を進めますので、遠慮なくお知らせください。
肩こり・首こりの原因や生活背景は人それぞれです。同じ症状でも、決まった一つの方法ではなく、その日のその方の状態に合わせて施術方法や刺激量を選び、無理のない改善を目指します。
ご自身でできること(セルフケア)
同じ姿勢を長く続けない
正しい姿勢を長く続けることよりも、こまめに姿勢を変えて、同じ姿勢を長く続けないことが大事です。
30分から1時間に一度を目安に、画面から目を離す、立ち上がる、肩や腕を動かす、大きく息を吐くなど、できることを一つ行ってみましょう。
肩を持ち上げて、力を抜く
- 椅子に座っている状態でも、立っている状態でも行えます。両肩を耳に近づけるようにゆっくり持ち上げます。
- 持ち上げ切ったら、そのまま3~5秒静止します。
- 息を吐きながら、肩の力を抜いて下ろします。自力で引き下げるのではなく、脱力して下す感じです。
- これを数回繰り返します。
肩甲骨まわりを動かす
腕を上げると肩関節が痛む方や、動作中に腕や手の痺れが強くなる肩、夜間痛が強い方は無理に行わないでください。
- 椅子に座っている状態でも、立っている状態でも行えます。手拭いやフェイスタオルを1枚用意します。
- 手拭いを肩幅よりやや広めに、順手で持ちます。強く引っ張らず、軽く張る程度にします。
- 手拭いを持ったまま、痛みのない範囲で両腕をゆっくり上げ、バンザイのようにします。
- 脇を締めるように肘を曲げながら、手拭いが頭の後ろを通るように、ゆっくりと下します。肩甲骨や胸まわりが動くことを感じます。
- 痛みのない範囲で数回行います。
スマートフォンの使用時の姿勢や作業環境を見直す
スマートフォンを見るときは、画面が低い位置にあると、顔を下に向けた姿勢が続きやすくなります。反対側の手やクッションなどでスマートフォンを持つ腕を支え、顔を大きくさげなくてもみられる高さへ近づけてみましょう。
パソコン作業では、背もたれや肘置きも利用しながら楽に座れる位置を探し、モニターを身体の正面に置きます。姿勢を正すことだけにこだわらず、同じ姿勢を長く続けないことを心がけます。
休息と睡眠をとる
疲労が強いときには、無理にストレッチや運動をして身体を動かそうとせず、温めたり、横になったりして休んでください。何もしない時間を作ることも、セルフケアの一つです。
朝起きた時の肩こりが続く場合は、睡眠時間だけでなく、枕やマットレスを長く使い続けていないか、寝返りをしにくくないかなど、睡眠環境も見直してみましょう。

肩こり・首こり よくあるご質問
肩こり・首こりは鍼灸で改善しますか?
鍼灸では、首や肩、肩甲骨まわりなどの筋肉の緊張を和らげ、動かしやすくすることで、つらさの軽減を目指します。
一度の施術で完全になくなるとは限らず、仕事や家事、同じ姿勢、睡眠や疲労などの負担が続けば、いったん楽になっても繰り返すことがあります。施術だけでなく、生活上の負担や身体の使い方も合わせて見直すことが、改善へつながります。
肩こり・首こりで頭痛やめまいが起こることはありますか?
首や肩こりとともに、締め付けられるような緊張型頭痛が起こることがあります。また、肩こり・首こりと同時に、めまいを感じる方もいます。
ただし、頭痛やめまいには、肩こりとは別の病気が関係している場合もあります。症状が強い、繰り返す、これまでと違う症状がある場合には、医療機関を受診してください。
肩こり・首こりは病院へ行くべきですか?
一般的な肩こり・首こりで、必ず医療機関を受診しなければならないわけではありません。
ただし、転倒や事故、むち打ちの後から首の痛みやこわばりが続いている、発熱を伴う、腕や手に強いしびれがある、手に力が入りにくい、突然の強い痛みが現れた、といった場合は、医療機関を受診してください。
ストレッチやマッサージはした方がよいですか?
痛みがなく、気持ちよいと感じる範囲であれば、筋肉の緊張を和らげたり、身体を動かしやすくしたりするのに役立つことがあります。
一方で、痛い場所を強く押し続けたり、無理に首や肩を伸ばしたりすると、かえって症状が強くなる場合があります。行っている最中や後に痛み、しびれ、違和感が増す場合は中止してください。
まずはお話をお聞かせください
肩こり・首こりを感じる場所や、つらくなる場面は一人ひとり異なります。 長時間の作業やスマートフォン、頭痛、目の疲れ、睡眠の浅さなども含めて、現在のお身体の様子をお聞かせください。